▼01:社畜街道と、乙女ゲー

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──カタカタカタカタ。 静まり返ったオフィス。 決まって響くのは、パソコンを叩くこの音。 もう聞き飽きたと言うのに、私は結局ほぼ連日この音と共に過ごしている。 それなりの小企業の企画開発部に入社して、約3年。 出世するなども特に無く。 黒髪を後ろにひっつめ、野暮ったい眼鏡を掛け、見た目は平凡どころか、それ以下かもしれない一社員の自分。 周りでは結婚も相次いでいたりするのに、私にはそんな相手も、トキメキも、一向に訪れない。 「はぁ……私の人生って、なんなんでしょう?」 節電の為にほとんど照明が落とされた室内で、一人呟く。
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