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──キィ。
凭れかけた反動で、椅子の背もたれが軋んだ音を立てる。
ふと思い出す、テンプレートな昼間のやり取り。
『……ごめんね。倉本さん、これもお願いしてもいい? 実は今日、どうしても外せない用事があって──』
『え、あ……はい……』
どうせ嘘だと分かっていながら、反射的に頷いてしまう。
一言。
ごめんなさい、私も自分の仕事があるので。
そう言って、断ってしまえばいいものを。
私はいわゆる、イエスマンという奴で。
断る、という行為が昔から苦手だった。
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