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「どこまで私のプランを捻じ曲げれば気が済むのかね、とんでもない害悪が居たものだ」
周囲を漂っている無数の光源の内、青の光に手を伸ばして紙の前へかざす。
「必要な情報と素材を逆算。因果の衝突を回避――、チッ、そう簡単には行かないか」
次に赤の光を手に取り、同じように紙の前へ持ってくる。
すると紙面に書かれた模様が変化を起こした。
「これが最適解だと言うのか。しかしリスクが……いや、他に方法が無いなら仕方あるまい」
手で目の前の紙を振り払うように撫でると、数枚の紙が一斉に重なり合って消失。
周囲を漂っていた無数の光源も、彼を中心に四方八方へ散って行く。
すると今度は暗闇が一瞬で真っ白な部屋へと早変わりし、そこに立つ闇色のスーツ姿を殊更際立たせた。
彼はズボンのポケットに両手を突っ込むと、難しい表情を作って左手を引き抜き、顔の前に持って来る。
手の中にはポケットの中から引き抜いたと思われる、アクセサリの鎖部分が握られていた。
「……透・大和、君だけが頼りだ。失敗は許されない」
掌から鎖に繋がったペンダントが零れ落ちる。
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