プロローグ

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 自分が寝ていた布団にも心なしか違和感を抱き、大和はもう一度足を布団の外側へ伸ばす。  今度は足の裏にヒンヤリとした感覚が来るが、フローリングの冷たさではないことにすぐ気づいた。 「畳?」  しかも自分が寝ていた布団はベッドの上ではなく、畳の上に直に敷いたものであることを理解する。  立ち上がり、薄暗い部屋の中を確認。  やはり何かがおかしいと感じるが、部屋の明かりを点けようと思った瞬間、身体が自然と「その位置」を求めて動いていた。  部屋の中央、何も無いはずの虚空を握り、下に引っ張る。  カチッと音が頭上で響き、古めかしいグローランプが点灯した後、丸型の蛍光灯が灯った。 「な――」  大和が寝ていた部屋は、警察寮の自室では無かった。  だが知らない部屋でもない。なぜなら――、 「ここって……コーポ三郷(みさと)!?」  2カ月前まで、自分が千葉県で生活していた部屋がそこに広がっていた。
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