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それから暫くした日のこと。皇子ソは、南風の小鳥のヌの歌を聞いて居りました。美しいなあ。美しい歌だなあ。でも、ぼくは何故、話すことが出来ないのだろう? ソ皇子は悩んで居りました。
その時です。水浴びをしていたヌが乾いた岩の上に上がって参りました。
「ヌよ、ぼくは話がしたい」ソ皇子は心の中で叫びました。すると、南風の小鳥のヌは、乾いた岩の上でタップダンスを踏みました。
たんととたたん、とととんとんとと
「素敵だなあ」ソ皇子は心の中で声を挙げました。気づくと、ヌのステップの跡が乾いた岩の上に残って居りました。その足跡は、まるで楽しい歌のようでした。
ソ皇子は、急いでその足跡を近くの木片に書き取りました。南風の小鳥のヌのダンスを忘れないために。そして、その木片を大切に仕舞いました。
夕ご飯の時間に為りました。ラ王とム妃がにこやかに食卓に着きました。ソ皇子は、そっと二人に今朝の木片を差し出しました。
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