字のことハジメ

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 それはずっとずうっと大昔(おおむかし)太古(たいこ)神代(かみよ)時代(じだい)のことでした。  つぅうううーーーーく、く、く、く、ぴぴぴいいいぃいくくいん、くいん  (うつく)しい(とり)()(ひび)きました。さらさらと()(とお)小川(おがわ)(なが)れて、(はな)()(みだ)れ、(うつく)しい、とても(うつく)しい(はやし)(なか)でした。  キの(くに)のラとムが小川(おがわ)のほとりに()って()りました。ラはこの(くに)帝王(ていおう)、ムはその(きさき)でした。 「ムよ。()(うつく)しいムよ、()のための(うた)(うた)っておくれ」 「はい、(よろこ)んで。ラ王様(おうさま)のために、(わたくし)(うた)います」  とぅるるるりりり、とぅううううぅりり、らららら 「ムよ、そなたの(うつく)しい(うた)(だれ)(おそ)わったのじゃ?」 「はい、南風(みなみかぜ)小鳥(ことり)のヌでごさいます」 「そうか、ヌめか」 「さようでございます」 「それにしても、我々(われわれ)皇子(おうじ)ソは、何故(なぜ)(はな)せないのだろう?」 「あれはあれで、(かしこ)皇子(おうじ)でございます。(はなし)出来(でき)ぬとも、その(うち)(かなら)ずや立派(りっぱ)(おう)になることでしょう」 「そうだといいのじゃが」 「ラ王様(おうさま)、ソに南風(みなみかぜ)小鳥(ことり)のヌを教育係(きょういくがかり)()けたら如何(いかが)でしょう?」 「うむ、それもそうであるな」  二人(ふたり)は、(あさ)(ひかり)(かがや)くほとりでしばし(はな)して()りました。 1ab20eff-4eb7-4414-b373-333e30e661d9
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