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「一人取り残されたおばあさんの悲しみを『失くす』為に、絵の中のおばあさんを落ち葉で隠そうとした。
おばあさんごと未練を『失くそう』としたのかもしれないね」
「それで、どうしてホウキとちりとりなの?」
「落ち葉が原因で会えないのなら、落ち葉を掃除してしまえばいい。
ホウキとちりとりなら、また落ち葉が原因で会えなくなっても、二人で協力して掃除が出来るだろう。そうすれば、いつだって会える」
「……掃除くらい、一人でも出来ると思うけど」
「一人で出来る事でも、二人でやった方が楽しいと思うよ」
ベルは溜め息を吐くと、廊下の片隅に消える。
その先には、ベルによく似た女の子の絵が飾られていたのだった。
「全く……」
ベルによく似た、背景が灰色の絵に向かって呟くと、リュークは欠伸をする。
徹夜で掃除をした身体は、いち早い休息を求めているようだった。
それに答える為に、リュークは部屋の中に消えたのだった。
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