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くぅ、まだ魔法って決まったわけじゃない。情報を得てから、トリックを見破ればこっちのものだ。だから今だけ頭を下げよう。
決して屈してはいない!断じて否!
心の中で言い訳を重ね、頭に重しを追加する。すると自然と頭が下がる。
「どうか私に魔法を教えてください」
机に手をつき、顔を下げる。
「丁寧にお願いできて、えらいえらい」
おばあちゃんは優しい手つきで下げた頭を撫でてくれる。梳くような軽い手つきは穏やかな風のように髪を揺らしてくれる。
顔が見えていないからと、変顔していた自分をさすがに恥じる。
「よし、改めて魔法『リライト』のお話をしましょう」
パシンと手をたたき、今までの流れを断ち切る。
「紗良は魔法を使ったはずだから、『リライト』って言葉を発したよね?」
私は首肯する。心の奥から聞こえてきた音をそのまま口にしただけだが、その音は『リライト』だったはずだ。
「うん、うん。それはね、『時を巻き戻す』魔法なんだよ」
TOKIO巻き戻す?
うん、聞き間違えかな。
「ごめん、おばあちゃん、もう一回言ってもらってもいい?」
「『リライト』は『時を巻き戻す』魔法なんだよ」
本当に?
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