第一話 魔法使いを驚かす方法

12/62
前へ
/219ページ
次へ
 くぅ、まだ魔法って決まったわけじゃない。情報を得てから、トリックを見破ればこっちのものだ。だから今だけ頭を下げよう。  決して屈してはいない!断じて否!  心の中で言い訳を重ね、頭に重しを追加する。すると自然と頭が下がる。 「どうか私に魔法を教えてください」  机に手をつき、顔を下げる。 「丁寧にお願いできて、えらいえらい」  おばあちゃんは優しい手つきで下げた頭を撫でてくれる。梳くような軽い手つきは穏やかな風のように髪を揺らしてくれる。  顔が見えていないからと、変顔していた自分をさすがに恥じる。 「よし、改めて魔法『リライト』のお話をしましょう」  パシンと手をたたき、今までの流れを断ち切る。 「紗良は魔法を使ったはずだから、『リライト』って言葉を発したよね?」  私は首肯する。心の奥から聞こえてきた音をそのまま口にしただけだが、その音は『リライト』だったはずだ。 「うん、うん。それはね、『時を巻き戻す』魔法なんだよ」  TOKIO巻き戻す? うん、聞き間違えかな。 「ごめん、おばあちゃん、もう一回言ってもらってもいい?」 「『リライト』は『時を巻き戻す』魔法なんだよ」  本当に?
/219ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加