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第一話 魔法使いを驚かす方法
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「紗良、あなたは魔女に選ばれたのよ」
ある日、大好きなおばあちゃんが唐突に言った言葉だ。
陸上部を満喫していた中学三年生の私はおばあちゃんの家でアイスを食べていた。おばあちゃんには若いときに築いた財力があり、遊びに行くとおいしいお菓子やごはんを出してくれるから、孫の特権を利用して入り浸っている。
そんないつもと変わらない平々凡々な甘味を堪能していたところにあのセリフだ。
ついにおばあちゃんも呆けてしまったかと不安になる。私の目は大切な破れかけのぬいぐるみを見るかのように、悲しさと哀れみがこもっていたはずだ。
私より何十年も長生きしてきたおばあちゃんは、まだ生まれて十年かそこらの私の感情を即看破する。
「私は大真面目よ、紗良。あなたの心の中に何か熱を感じているはずよ」
……なるほど。
いわれてみればそんな気がする。私の胸の内には暖かくぼんやりとした何かが存在している。蠢くわけでも暴れるわけでもない。穏やかな光という表現が適切な何かが。
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