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私は気を失っていたのだろうか。目をつぶっていたことだけはわかった。
瞼をゆっくりと開ける。今度は晴れるように軽く持ち上がる。
記憶は地続きなのに、感覚は一旦途切れていたと訴えてくる。初めての感覚に乗り物酔いのような気持ち悪さを感じていた。
相も変わらず景色は変わっていない。
目の前には正座をしているおばあちゃんがおり、いつも飲んでいるお茶のにおいが感覚を呼び起こす。変わらない日常なんだと教えてくれる。
「やっと、戻ったかい?初めてのことで頭がびっくりしちゃったんだね。私もそうだったからねぇ。とりあえずお茶でも飲みな」
言う通りにお茶を飲み、ほっと一息。いつものお茶という安心感が落ち着かせてくれる。
この酔ったような感覚は魔法の所為なのだろうか。でも、魔法の効用は結局何一つわからなかった。
実はお茶に幻覚剤が入っていたとかの方がわかりやすい。
自分で言っといてなんだけど、それが真実では?
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