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「客人か?」
突然、目の前の蛙が寝転がったまま大口を開いた。でも、さっき聞こえてきた人の気を惑わすような声ではない。
「変な声に呼ばれた。貴方は一体?」
おおかた、妖怪の類だろう。こんな田舎なんだから、妖怪の一つや二つ…居たって不思議じゃない。
「誰が妖怪だ。儂は鳴き神。出自はヒキガエルだが、今じゃ立派な神の一人だ。…ま、今は誰も崇めてはくれんがの。」
溜め息を吐くヒキガエル…もとい鳴き神。どうやらこの神はこちらの思想を読んでくるようだ。
「然り。そして、変な声とはおそらく因幡のやつじゃな。因幡ならそこに…」
ぺちゃ、と目の前で蛙が潰れた。成程、お供え物になってしまったのか。そして蛙を足で潰したのは…
「待っていたぞ。」
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