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だが、中には自分達を特権階級だとでも思っているのか? この状況下においても自粛警察を恐れないアホウどももいる……。
「――おい! 何人で会食してるんだ! ひい、ふう、みい……八人もいるじゃないか! 四人でも俺は認めないが何考えてんだ!」
「んん? 貴様、誰に口を聞いておるんだ? わしを知らんのか?」
料亭から出てきた男女の一団に、いつものように自粛警察がからんでゆくと、その中の最年長の高齢男性が珍しくも言い返して来た。
その一団には、他に少し年齢の下がる中年男性が四人、まだ若い化粧の派手な女性が三人含まれている……どうやらコンパニオンを呼んで宴会をしていたらしい。
「んん? ……あっ! おまえは国会議員の◯◯!」
高齢男性の言葉にまじまじと顔を見つめると、それは閣僚経験もある与党の某ベテラン議員だった。
自粛警察に見つかってもなんら悪びれもせず、きっと自分達は特別な存在であり、たとえルールを破っても問題はないと高を括っているのだろう。
……が、そんな理屈が自粛警察に通じるわけがない。
「よーし、そういう態度に出るんだったら、このことを全世界に拡散してやる!」
「うっ…な、何をする!?」
自粛警察はポケットからスマホを取り出すと、それを議員に向けてフラッシュもバシャバシャと写真を撮り始める。
「コンパニオン同席で会食する非常識な議員発見……#拡散希望、#炎上希望、#国会議員、#◯◯の辞任を求めます、#国民の敵 #◯◯党はクソ #自粛警察砲……と」
そして、慣れた手つきで画面をタップすると、素早くハッシュタグ付きの文章を打ち込み、今撮ったばかりの写真付きでSNSに速攻UPした。
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