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「あ、爺ちゃんだ!」
暫くして下を見下ろすと、その村の住人であろう者が不安そうに辺りを見回していた。
「ニーダ! どこにいるんじゃー?」
「ニーダ……お願い返事して!」
「あっ、ママもいる!」
二人の元へおいらは足早に降りていった。坊やが居なくなったことに、不安と焦りで今にも倒れそうだった。
「ママー!」
「ニーダ!」
ママはニーダへと駆け寄り、お腹と背中がくっつくほどに強く抱擁した。
「ほんとにもう、この子ったら、すぐにどこへでも行ってしまって……勝手に行動してはいけないってあれほど言っているのに」
言い切るか言い切らないうちに、ママは目を潤していた。
「ごめんなさい、ママ。でもね、このお兄ちゃんが僕をここに連れてきてくれたんだ」
「まあ、本当にありがとうございました」
「いいってことよ。たまたま通りかかっただけだしさ」
「若い衆、もしよかったら、お礼も兼ねて今夜泊まっていかんか」
「そうですね。大したものは用意できませんが、この子を見つけていただいたお礼に是非」
たじろぎながらも坊やの爺さんとママの誘いにおいらは乗ることにした。
「じゃあ、せっかくだからそうさせてもらおうかな」
「うわーい! お兄ちゃんと一緒だ!」
坊やに連れられて入った場所は、大家族で暮らしている村であった。
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