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こうして、火星移住計画推進委員会の全面バックアップにより、生物の『全ての進化を咎め、抹殺する抗体』は、「クリーナー」という名前を与えられて、生み出された。火星でのパンデミックから、五年後のことである。
同時に、第二次移住者による入植が開始された。抗体のミストを噴射する装置には、当然、「クリーナー」が追加されていた。
一年経ち、二年が経っても、移住者の間ではパンデミックは発生しなかった。また、懸念されていた健康上のリスクも、問題ないようだった。
五年、そして十年が経っても、状況は変わらなかった。
「クリーナー」計画は、成功を収めたかに見えた。
しかし、一方で、大きな問題が生じていた。
移住者の間では、一切、子供が生まれなくなっていたのである。
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