希望

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 そんな中、三人の女子に対して、帝國大学への入学許可が出た。  従来の帝國大学は、高等学校の卒業が入学資格であったが、開学して間もない東北帝国大学では、学生数を確保するため門戸開放と称し、高等学校を卒業していなくとも、中等教員免許を持つ者であれば、入学を認めた。  中等教員免許とは、中学校や高等女学校、尋常小学校の教員を養成する師範学校の教員資格である。高等師範学校や、その他文部省が指定する学校を卒業した者に与えられる資格であるが、中学校や高等女学校の卒業生など、受験資格を満たしていれば、試験を受けて取得することもできる。  三人はそれぞれ、女子高等師範学校や専門学校である日本女子大学校を出ており、中等教員免許を持っていた。そこで恩師の勧め等もあって受験し、見事合格したのだ。  本来は、高等学校を卒業していない男子への門戸開放であったが、それは結果的に、女子の受験と入学を認めることにもなった。 「これは……東北帝國大学、ですか」  友莉絵は、官報の記事に目を疑った。 「ええ。先日、東京朝日の記事にもありましたわ。ご存じではありませんでしたの。官報に出るとは、本当でしたのね」  月季子は、弾むような口調で言うと、広げた官報の該当箇所を、丁寧に指でなぞる。文字を見つめる瞳は、どこか誇らしそうでもあり、羨ましそうでもあり、切なそうでもあった。 「帝國大学って、どんなところでしょうね」  友莉絵には、想像もつかなかった。帝國大学というその場所も、多くの男子に混じって学ぶということも。  しかし、月季子は異なっていた。 「優秀な方々が集まって……議論を戦わせたり、研究の試行錯誤を重ねたり……ああ、想像しただけで、私、胸が高鳴って参りましたわ」  帝國大学への期待と想像を膨らませた月季子は、うっとりと目を閉じた。
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