急の巻 忍者に生きるか、青春に生きるか

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 成程、最終手段に出たと言うことか。こいつら、穗積を総理大臣にしたくない民自党の古狸達の刺客だ。それも最後の刺客だ。こんな素人同然のテログループ組織まで使い、こんな大それたことするところ、本気と大馬鹿が同居しているとしか思えない。 目標(ターゲット)はおそらくは泰司(それしかない)だ。それを人質にとって総裁選を辞退させようとするとは、何という回りくどくも暴力的(ドメスティック)な奴らだ。呆れるばかりである。 それよりも、校長室で一緒に人質になっている剛臣が心配だ。こんなアホ同然の集団でも持っている銃は本物、撃たれて死なれては堪らない。 あたしは昨日忍者をやめると宣言はしたが、この瞬間だけは再び忍者に戻ることにした。 「すいませーん」 あたしは媚びるようにテロリストを呼びかけた。テロリストは仏頂面をしながらあたしの元に近づいてきた。 「あ? なんだ?」 「おトイレ……」と、上目遣いで媚びるような目つきをしながらあたしはテロリストに訴えかけた。くノ一の門下生から学んだ技術がこんなところで役に立つとは思わなかった。 「チッ! 隅っこでしろ!」 流石に甘くないか。あたしにそれを教えたくノ一の門下生はナイスバディの美人忍者だ。あたしみたいなチンチクリンにはまだ早い技術だったか。 あたしはもうひとエッセンス加えることにした。普段見ることがないあたしの姿を見た黒夜叉は笑いを堪えている。正直なところ、恥ずかしい…… 「男子いるじゃないですか。男子の前でしろと?」 「気にすんな! だったら漏らしても構わんぞ、気にする奴はいねぇ!」 ガードは硬いか。海外で起こった人質事件は人質に垂れ流しにさせていたと聞く。 更にもうひとエッセンスを加えよう。 「あたし、洋式で座らないと駄目なんですよ。どうしても我慢出来なくて……」 「我儘な(アマ)だな……」 テロリストは上司のテロリストを呼び出し、相談を始めた。 「あの女の子がトイレに行きたいとか喚いているんスけど」 「我慢させとけ。長時間の予定はねぇ。いずれにせよ夕方までに終わる」 良いことを聞いた。こいつらが長期籠城戦で学校占拠をする気がないと分かっただけでも大収穫だ。 「どうしても我慢出来ないとかって」 「仕方ねぇな。但し一緒にだ! 逃げて通報されたら厄介だ!」
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