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すると、インカムから激しいノイズ混じりの声が聞こえてきた。
〈四階女子トイレ、女子のトイレに同行したジュリエットからの通信途絶、タンゴからズールーまでの七人は至急確認に向かえ。不審者がいれば射殺も構わん〉
〈〈〈〈〈〈〈ラジャー〉〉〉〉〉〉〉
あたしは溜息を吐いた。
「頑張らざるを得ない…… か」
女子トイレに七人のテロリストが駆け込んできた。サンドイッチと化した暗号名ジュリエット(フォネティックコードをそのまま暗号名に使うところ、面倒くさかったのだろうか)が倒れている姿を見て七人は困惑した。
「誰にやられたんだ」と、言いながら先頭に立つタンゴの名を持つと思われる男がハンドサインを出した。サムズアップを上に軽く向けるそれは「このエリアのカバー」である。
「クリア!」と言いながらテロリストは個室の壁を蹴り飛ばしていくが、個室は全て蛻の殻。
当たり前である。あたしはトイレの天井に張り付いているのだから。
テロリストは当然困惑する、あたしは懐に入れていた煙玉を彼らの中央に向かって投げつけた。女子トイレ内が煙に包まれる。
あたしはそのままテロリスト達のうなじからうなじに八艘飛びのように飛び移り、うなじを蹴り飛ばしながら全員を気絶させた。一人、蹴りの当たりが薄く起き上がろうとする奴がいたのだが、最後は強めのもう一撃を加えてトドメを刺した。
「制圧完了」
煙が薄くなってきたところで、再びインカムに連絡が入ってきた。
〈定時連絡はどうした? 女子トイレで何があったか報告せよ!〉
何も、ありませんよ…… 後はテロリスト達がまごまごしている間に校長室に乗り込んで…… っと。
〈定時連絡が途絶えた! 全フロア防火シャッター起動!〉
全く! 閉じ込められたらアウトじゃない! あたしは全力で疾走った。廊下に出ると、防火シャッターが物々しい金属音を立てながらゆっくりゆっくりと降下し始めていた。シャッターとシャッターの間に閉じ込められる訳にはいかない。体勢を低くし、スライディング気味に校長室の方向にある防火シャッターに滑り込み通過した。
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