結の巻 青春のはじまり

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「あの、娘さん…… 鶏頭さんの任務継続してもらっちゃ駄目でしょうか?」 「若君? 何を言っておるので?」 「僕、まだ鶏頭さんのことよく知らないんです。それにマジで総理大臣の息子になっちゃったんで、これまで以上に変な奴来ると思うんですよ。だから、鶏頭さんには任務を継続してもらって守護(まも)って貰いたいんです」 父はガハハと笑い飛ばした。父の豪放磊落とした清々しい笑い声を聞いたのは初めてである。 「女に守護(まも)って貰う男か。情けない」 「僕の心を締め付けることが出来なかったんですよね? いいんですか? 僕、うっかり娘さんが忍者だってポロって言っちゃうかも……」 「う……」父は苦虫を噛み砕いたような表情をあたし達に見せた。そして高らかに叫んだ。 「分かった。鶏頭よ! 今度こそ上宮泰司少年の心を締め付けい! これからも監視の任務は継続せいっ!」 「そんなぁ! あたし、これからもこいつと一緒なの?」 「反論は許さん! 総理の息子の護衛の任を与える! 学校も一緒だし丁度よい!」 「でもぉ……」 「でももだってもない! さっさと上宮泰司少年を自宅に送り届けなさい!」 あたしは泰司を連れて、大広間を後にした。その際に父がボソリと言ったことをあたしは聞き逃さなかった「あのガキ、忍者を謀るとはいい度胸だ」と。 あたしにはその意味が分からなかった。
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