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生まれてこのかた、これほど重たい誓いを口にしたことがあっただろうか、と思う。
「エデルマンを殺したあの男に罪を償わせて、そして、ちゃんとここに戻ってくる。だから、お前も必ず無事でいてくれ」
リロイが、長い金色の睫毛を伏せた。
「……約束します」
許せエデルマン、とラルフは心の中で詫びる。お前の恋人は俺が命に代えても守る、と誓う。
リロイという光を失ったら、自分の心は灯台を見失った船のように闇の中をさまよい続けるだろう。そうまでして永らえる命に意味があるとは、今のラルフにはどうしても思えなかった。
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