(一)

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 兵士が撃ってきた時には、近くにレコード屋のイルマ・タリエルとレストランでウェートレスをしてたエレーナ・コビアシビリもいたはずだった。しかしタリエルには銃弾二発が額に命中し、頭蓋骨を破壊され脳みそを周囲に四散させてその場に倒れた。エレーナは逃げ惑う民衆と同じように走って逃げようとしたが、流れ弾が右足のふくらはぎを貫通し転倒、そのまま逃げ惑う人たちに踏まれ、動かなくなってしまった。  少し離れた所にいた、売れない画家のショタ・ラバーゼは周囲の人間が逃げ惑う中、手にしていたP8拳銃で数発撃って反撃していたが、敵の兵士には当たらず、逆に胸を数発撃たれて、そのまま膝から崩れ落ちた。  僕は銃撃の中、逃げ惑う民衆の中で呆然としていると、「こっちです」と手を引っ張られた。「情報屋」のヤコブ・ナボコフという背の低い頭のはげ上がった中年男性だった。 (続く)
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