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夜も深まり、さぁ寝ようと俺たちが寝室に入ろうとすると一星も付いてきて、一緒に寝ると言う。
流石に番との愛を確かめ合うという大事な時間を邪魔されたくなくて「ダメだ」と言おうと口を開く前に七星が受け入れてしまった。
俺は開きかけた口を閉じ、大きなベッドで三人で寝る事にした。
七星を真ん中に左に俺、右に一星だ。
「さ、寝よう。おやすみなさーい」
おやすみのキスもする事なく眠りにつく七星。
泣きたくなる。
愛しい人がすぐ傍にいるのにキスする事もできないなんて……。
心の中で小さく溜め息をつくと、寝たはずの七星がそっと手を握ってきた。
「――――!」
繋いだ手が温かい。
七星の左手は布団の上に置かれている。
手を繋いでいるのは俺だけだ。
たったこれだけの事なのに嬉しくてたまらない。
その日は幸せな気分でぐっすりと眠る事ができた。
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