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俺だけの愛しい人を絶対に奪わせない!!
俺は自分のフェロモンを染み込ませたスーツの上着を脱ぎ七星を包み込んだ。
他のαに見つからないように。
愛する人を全ての目から隠した。
それから急いで社内にあるΩ用の緊急避難シェルターに運んだ。
部屋に入りしっかりと施錠する。
室内には俺と七星のふたりきり。
これから俺は七星と番う。
高校の卒業式の日に番う約束になっていたが、それは七星に俺から逃げる猶予を与えただけの話だ。
その必要がないのなら今日ここで……。
だが、一応七星に確認を取る。まだ僅かではあるがヒートの波に完全に飲み込まれてしまってはいないようだから。
「七星、七星答えて。俺は今から七星のここを噛みたい」
そう言って七星の項にそっと触れる。
七星の身体はぴくりと跳ね、快感に身を震わせる。
「七星、いいか? 俺が噛んでもいいか?」
「――ん。かん……で……? ぼく……、まこ……とさ……ん……ずっと……いっしょ……」
七星の言葉と言えるものを聞いたのはこれが最後だった。
ぶわりと広がっていくお互いのフェロモン。
あとはひたすら声にもならない嬌声と喘ぐ息づかいだけ。
俺の方も「愛してる」を繰り返すしかできなかった。
何時間にも及ぶ交わりの後、七星の一番奥の奥に俺は精を放った。
そしてほっそりとした項にがぶりと牙を立てた。
柔らかな肌に食い込んでいく己の牙。
血の味が口の中に広がる。
それでも深く、深く沈みこませる。
身体が造りかえられていくようなそんな感覚。
ふたりがひとつになったそんな感覚。
多幸感が全身を突き抜けていく。
あぁ……俺の何を差し出してもいい。
命さえキミに捧げるよ。
狂おしいほどに愛おしい人、ずっと傍にいて。
繋いだこの手を離さないで。
-おわり-
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