act6

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私はスマホの画面を見た。ちょうどお昼の時間だった。 私と橋本さんは、昼ごはんを食べながら、話をすることにした。 「ここのランチ美味しいんですよ」と橋本さんに案内されるまま、和食のお店に入った。 が、、、ランチどころではなくなった。 「えっ、に、妊娠!?」 店に入って早々、橋本さんから衝撃的告白を聞かされた私は、思わず声が出た。 それも思った以上に大きな声になってしまい、私は慌てて手で口を押えた。 「す、すみません……」 「いえ、こちらこそ驚かせてしまってすみません……実は、深山さんにお会いした時には分かってました。分かった直後に佑太君から別れを告げられて……あのときは本当に混乱してしまい、ご迷惑をおかけしました」 謝る橋本さんの姿を見て、私は 「最低、佑太……」 と、またしても声に出てしまった。私のハッとした顔を見て、橋本さんが苦笑した。 「私もいけなかったんです。佑太君に妊娠していることをなかなか言えずにいましたから……話したら『堕ろして欲しい』って言われるんじゃないかと怖かったんです。でも、深山さんが佑太君を呼んで、『ちゃんと話をした方がいい』って言ってくださったおかげで、あの後やっと話ができました」 まさか、私がお店を出た後にそんな話をしていたとは…… 「佑太君、話をしたときはとても驚いて動揺してたんですけど、しばらくしてから『産んで欲しい』って言ってくれて……本当に嬉しかったし、とてもほっとしました。深山さんのおかげです。ありがとうございました!」 「い、いえ、私は何も……」 橋本さんにお礼を言われて、私は、いたたまれない気持ちになった。 『ちゃんと話し合った方がいい』なんて、どの口がっ!だよね……自分ができてないくせに。恥ずかしい…… 私の様子に気づくことなく、橋本さんは話を続けた。 「本当にあのときは、不安でどうしようもなくて……『堕ろして』って言われたらどうしようとか、悪いことばかり考えていました……でも、初めから分かってたんです」 「初めから……?」
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