act1 closing 「初夜」

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ベッドの上で悶えていると、萌がバスルームから出てきた。 体を起こして萌を見る。 すっぴんの萌は、元々可愛らしい顔立ちではあるけど、メイクしているときより柔らかく見える。だから俺は、化粧してるときよりすっぴんの萌の顔が好きだ。 萌を近くで見たくて、萌を隣に座らせるべく声をかけた。 「ねぇ、すごいよこのベッド、寝心地めちゃくちゃいいよ!萌も疲れたでしょ、こっち来なよ」 しかし……萌は、はしゃぐ俺を「うん、後で」と適当に受け流し、ソファに座ってスマホを見始めた。 つれないなぁ。 いじけてベッドの上をゴロゴロしていると、萌のつぶやく声が聞こえた。 「……嫌だったよね……」 「えっ?イヤ?」 何のことか分からず、俺は体を起こして聞き返した。 「香奈……」 「みやまー?」 「今日来たくなかったよね。話全然できなかったな」 「それは、俺たちが忙しかったから気を遣ってたんでしょ?」 萌がフルフルと首を横に振った。 「……私、昔よく香奈に『香奈の方が先に結婚する』って言ってたんだよね。本気でそう思ってたから。まさか、中村くんと別れると思ってなかったし……なのに、私の方が先に結婚することになるなんて」 「しょうがないよ。先の事なんて誰も分かんないんだし」 香奈と話しづらくなっちゃった、と肩を落とす萌を見て、俺はベッドの上で両手を広げた。 「萌、おいで!」 萌は俺を見た。そして、俺の胸に飛び込んで……くるわけはなく、黙って俺の広げた腕を下にさげて、隣に座った。 「前みたいに普通に話したい」 コテン、と萌が俺の肩に頭を乗せた。俺は萌の肩を抱いて優しく撫でた。
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