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こんなときでも、みやまーのこと気にするなんて、本当にみやまーのこと好きなんだな。ちょっと妬けちゃうな……
「大丈夫。みやまーは話しかけるの遠慮してくれただけだよ。今日は俺たち忙しかったから……次会うときは普通に話せるよ」
萌が安心するように、俺は優しく囁いた。
「うん。ナオ……」
「ん?」
「いろいろありがと……」
「ねぇ、今日は俺たちの初めての夜なんだからさ、他のこと考えるのはやめて……」
「……」
んんん?
横からスヤスヤと聞こえるのは、もしかして?
横向いて萌の顔を覗くと、萌は規則正しく寝息を立てて眠っていた。
ね、寝てる……
あーあと、ため息をつきながら、萌をそっとベッドに寝かせる。
そして、萌の寝顔をじっと見つめた。
あの気の強さなんて感じられないかわいい寝顔……
俺は萌の髪の毛を指で梳いた。
今日、萌は「藤代萌」から「市井萌」になった。
これで少しは藤代家から解放されるだろうか?
いつか萌に「結婚してよかった」って言ってもらえる日がくるといいな。
そう思ってもらえるように頑張ろう。
赤ちゃんは……ハネムーンベビーなんだから、明日から頑張ればいっか。
萌の前髪を指先で左右に流して、出てきたおでこにチュッとキスをした。
「おやすみ、奥さん」
明日早いし、俺も寝よ。
やっと奥さんと呼べる喜びを噛みしめながら、俺は眠りについた。
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