act1 closing 「初夜」

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こんなときでも、みやまーのこと気にするなんて、本当にみやまーのこと好きなんだな。ちょっと妬けちゃうな…… 「大丈夫。みやまーは話しかけるの遠慮してくれただけだよ。今日は俺たち忙しかったから……次会うときは普通に話せるよ」 萌が安心するように、俺は優しく囁いた。 「うん。ナオ……」 「ん?」 「いろいろありがと……」 「ねぇ、今日は俺たちの初めての夜なんだからさ、他のこと考えるのはやめて……」 「……」 んんん? 横からスヤスヤと聞こえるのは、もしかして? 横向いて萌の顔を覗くと、萌は規則正しく寝息を立てて眠っていた。 ね、寝てる…… あーあと、ため息をつきながら、萌をそっとベッドに寝かせる。 そして、萌の寝顔をじっと見つめた。 あの気の強さなんて感じられないかわいい寝顔…… 俺は萌の髪の毛を指で梳いた。 今日、萌は「藤代萌」から「市井萌」になった。 これで少しは藤代家から解放されるだろうか? いつか萌に「結婚してよかった」って言ってもらえる日がくるといいな。 そう思ってもらえるように頑張ろう。 赤ちゃんは……ハネムーンベビーなんだから、明日から頑張ればいっか。 萌の前髪を指先で左右に流して、出てきたおでこにチュッとキスをした。 「おやすみ、奥さん」 明日早いし、俺も寝よ。 やっと奥さんと呼べる喜びを噛みしめながら、俺は眠りについた。
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