あーちゃん、あのね。

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 それから、きみは、ランドセルを卒業して、制服になったね。  グレーに赤のチェックが入ったプリーツスカート、とってもよく似合っていたよ。  好きな子ができたって、ぼくに初めに教えてくれたときは、何だか複雑な気持ちだったな。  ぼくのほうが、ずっと前から、好きなのになって思った。  でもさ、あーちゃんがすっごく嬉しそうに「鉛筆を交換したんだ」って笑って報告するから、何だかぼくも嬉しくなっちゃったよ。あーちゃんが幸せなら、ぼくは幸せなんだなって、つくづく、そう実感した。  一生懸命にお菓子を作って、精一杯可愛くして、出かけて行った中学2年生のバレンタインデー、そうして、すっごく時間をかけて服を選んで出かけて行った春休み、彼氏だよって紹介してくれた中学3年生の夏休み。  ぼくは幸せそうに笑うきみを見て、とっても幸せだったよ。
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