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だからね、きみが、じっとスマートフォンを見つめて、下唇をぎゅっと噛み締めていたとき、ほんとうにびっくりしたんだ。
あれはもうすぐクリスマス、って時だったね。
じっとみていることしか出来ないぼくの前で、ついにその涙が、睫毛をこえて溢れ出した。
「ぐれい……わたし、ふられちゃった……」
ぼろぼろとそのまあるいほっぺたに涙をこぼして、あーちゃんはそう小さく呟いた。
ぼくに伸ばされた指先が求めているのは、きっとぼくじゃない。
チクリ、と胸が痛む。
だけど、ぼくは、あーちゃんが幸せなら、それでいいから。
アイツの代わりに抱きしめていいよ。
いっぱい泣いて、いっぱい吐き出して、そうして、また立ち上がって。
きみはこれから、そうやって、生きていかなきゃいけない。辛いこと、哀しいこと、きっとこの先もたくさんある。
でも、ぼくがいる。ずっと応援してる。
ぼくだけは、あーちゃんのそばにいる。
だから、ぼくを、哀しみの依り代にしていいよ。
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