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03 ある夜の【雪橋】
俺は今、夢を見ているのかもしれない。
そんな事を考えてしまうくらい、目の前の光景は自分の願望を現していた。
「あ、あ、っん、ああっ」
仰向けで寝る俺の上に跨っているのは理玖さんだ。
臨戦態勢の俺のモノを後ろに咥え、手を俺の胸元に付いてぎこちなく身体を揺らしている。
所謂、騎乗位である。
今日の理玖さんはどうした事か積極的で、「雪橋は何もしなくていいから」
と言って俺の上に乗り自ら身体を沈めだしたのだ。
反り勃った根本を握られた時は、もうそれだけで達するかと思った。
「はぁ……んっ、あっ、あー」
しかし、全然動けていない。
多分、理玖さん的には精一杯動いているつもりなのだろう。
この体位は初めてだから、いつもと違う所に当たって、それだけで悶えて喘いでいるようだ。
これは……俺の根性を試されている?
目の前で、見せつけられる恋人のあられもない姿。
しかも、本日二度目なので、ついさっきまでの行為の余韻が見て取れて居たたまれない。
下から突き上げたい衝動を何とか堪えられていられるのは、一生懸命な理玖さんが壮絶なほど淫らで色っぽくて、永遠に見惚れていたいからだ。
「……き、はしぃ」
ふと、潤んだ瞳が向けられて、背中から下半身にゾクリと何かが走った。
あー……これは、ダメだ。
可愛過ぎる。
もう我慢できない、と思ったその時。
「悦く、ない?」
不安気にこちらを窺う理玖さんの声が震えている。
俺の反応を気にしているようだ。
悦くない、なんて事は全くございません。
視覚的には申し分ないです。
堪えきれずに自分で前を扱いている姿なんて、控え目に言って絶景です!
だけど、身体的には生殺し状態だ。
このままでは決定的な刺激がなく、いつまで経っても終わらない。
せめて、理玖さんの白くて細い腰を掴みたい。
それから、イイ所を擦ったり、奥の方を突いてあげたい。
しかし、頑張る理玖さんの色香に、このままずっと溺れていたい気持ちもある。
「理玖さん、可愛いです、よ」
「……じゃ、なくてぇ」
欲望に塗れた俺を飲みんでいく身体が愛おしい。
俺でいっぱいな理玖さんの身体。
触りたい。
触りたいです、理玖さん。
「綺麗です」
ゆらゆらと身体を動かしていた理玖さんが、顔を真っ赤にして泣きながら首を横に振る。
「そういうの、言うっ、なっ」
「どうしてですか?」
いつもずっと思っているし、いつでもどこでも言いたいというのに。
外では恥ずかしいと嫌がるかもしれないけれど、こうして二人きりの時くらいは言わせて欲しい。
「嬉しくて、イっちゃ……ぅ、から」
困ったように眉を下げた理玖さんが、辛うじて聞こえる程の音量で呟いた。
恥じらうのと同時に、中がキュウと締まって「く……っ」と咽の奥が鳴った。
危なかった。
油断していた。
理玖さんのエロさを甘くみていた。
「やぁっ、おっきく、しなっ……で!」
上気した顔で涙ながらに懇願されて、それでもう、俺の我慢の時間は終わった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2021.1.26
前ページの続きとしてどうぞ。その日の夜とか。葉山的には慰めているつもり。
誘うのは天然で出来るのに、ご奉仕関係は上手くできない葉山も、雪橋は大好物かなと思いまして。
この後葉山は、ひっくり返されてガンガン攻められて、「何もできなかった」とちょっと落ち込んでいるのが雪橋にバレて、可愛過ぎます!と更に攻められるのかもしれない。
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