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翌日、先に目覚めた俺は、理玖さんを起こさないようにベッドから這い出て、ぐったりと眠る理玖さんを眺めていた。
無防備な寝顔に顔が綻ぶ。
つい触りたくなって指先で頬を突いてみると、少し開いた理玖さんの唇から「ん」と小さな声が漏れた。
この人の愛らしさは、確実に俺を駄目にする。
人として、男として、やってはいけないと分かっているのに、今すぐ襲いたくなってしまう。
はぁ……。
と、大きく息を吐いて心を静める。
寝ている相手に、さすがにそれは止めておけ。
しかも、昨晩散々抱いた相手だ。
せめて目が覚めるまでは待て。
いや、それもどうかと思うけど。
とりあえず、今は駄目だ。
心を落ち着かせながら、眠る理玖さんの顔を再び覗き込む。
まだ起きる気配はないようだ。
しかし、昨夜の理玖さんは可愛かった。
理玖さんが可愛くない時など一瞬たりとも無いが、特に可愛かった。
性器を縛られて、イきたくてもイけないで泣きながら懇願する理玖さん。
解いてからは、逆にイきまくりで「やだぁ」と愚図る理玖さん。
出し過ぎて「も、出ないぃ」の言葉通り、出さずにイった理玖さんのナカの蠢きは最高だった。
意識を飛ばした理玖さんを少し休ませて、気が付くのを待ってまた続きをして。
冥土の土産レベルに幸せな夜だった。
「ん……」
すぐ横に欲情している人間がいる事など知る由もない、眠る理玖さんの瞼が震えるように動いた。
そこで、無意識に頬を撫でていた事に気付いた。
理玖さんの柔らかい頬を、ふにふにと撫でてしまっていた。
俺の手はなんて欲望に従順なんだ。
「よーすけ?」
まだ瞼は閉じたままで、寝言のように理玖さんが俺の名を口にした。
はい、起き抜けの「よーすけ」頂きました。
掠れた声が堪りません。
御馳走さまです。
「ここにいますよ」
髪を撫ながら言うと、目を閉じたまま理玖さんが微笑んだ。
せっかく静めた心を、簡単に昂らせないでください。
冗談抜きで犯しますよ。
「陽輔」
「何ですか?」
ようやく開いた理玖さんの瞳が、ぼんやりしたままとこちらを見る。
勿体ないくらい色気が漏れている。
できる事なら、全て吸い込んでしまいたい。
「ん、呼んでみた、だけ」
幸せそうにそう言って、再び瞼を落として眠りについてしまった。
…………。
……何、今の。
史上最高に可愛いんですけど!!
なんだよ、「呼んでみただけ」って。
可愛過ぎるだろ!
しかもまた寝るし。
いや、寝るのは良い。
俺の所為で削られた体力を回復してもらわなければならないし。
何より、寝息がエロくて眼福だし。
とりあえず、自らの下半身の昂りを静めつつ、こちらも幸せになる理玖さんの寝顔をまだまだ堪能できる喜びを噛みしめよう。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
2021.4.12
雪橋視点を書かないと物足りない気持ちになっしまう今日この頃。
蛇足の蛇足で何が何だか…。
もう少し不穏な空気になるかと思ったのですが、雪橋の「理玖さん大好き」思考が強すぎて結局ほのぼのラブラブになりました。
いつもの事で落ち着きます。
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