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35歳、変わらないもの
どれくらいの間私は泣きじゃくっていただろうか。
彼は何も言わずに私を抱きしめたまま離さずそっと頭を撫でてくれた。
落ち着いた頃ようやく彼は口を開いた。
「もう大丈夫、、、?」
そして部屋にあったコーヒーを入れてそっと手渡してくれた。
コーヒーの温かさはまるで彼の優しさみたいだ。
じわりじわりと染み渡る、、、
「ありがとう。ごめんなさい、、、私、、、」
私の言葉を遮るように彼は私の手をギュッと強く握った。
「謝らなくていいよ。無理に何か話そうとしなくていいし俺はもうこれ以上は何もしないから」
「嫌になるよね、、、こんなの、、、」
最低な女だ。私は、、、
期待させておきながら寸止めして困らせて。なのに彼はその優しさを止めようとはしなかった。
「いや。これで良かったのかもしれない」
彼は自分自身に言い聞かせるかのようにゆっくり囁いた。
「俺さ、、、君に本気になってしまいそうだったんだ。ワンナイトラブを求めていたはずなのに君を好きな気持ちが止まらなかった」
突然の告白に胸の奥が熱い、、、
「あの先へいっていたら、きっともう戻れなくなってた。俺さ、薄々気づいてはいたんだよ。マコちゃんはきっと何か隠してるなって」
全てを見抜かれていたんだね、、、
私はなんてバカなの?最低だ。
「それでも良かったんだ。もしマコちゃんとこの先までいったら俺は君に本気になろうって決めてた。だけど君が泣いた時、俺は君を奪えなかった」
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