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彼の誠実さに応えよう。
私に出来ることはもうそれだけだ。
「、、、私本当は既婚者なの。私には旦那も子どももいる」
嘘をついたままでいるのは彼の気持ちを踏みにじる事だ。
だからどんなに軽蔑されても構わない。
「そっか。やっぱりそうだったんだ。」
「嘘をついていてごめんなさい。でも私はタツヤ君に全てを捧げてもいいって本気で思っていたの。だからあなたへの気持ちには嘘が無かったよ」
彼は優しく微笑むとタバコをふかして深く息を吐いた。
タバコの匂いが私を包み込む。
「これで良かったのかもな。深みにハマる前で、、、さ。」
「、、、ごめんなさい、、、あなたの優しさに甘えてあなたを傷つけてしまった。私、最低だ、、、」
再び私は彼の腕の中にいた。
「いや、君は最低なんかじゃないって。あーあ、、、何でこんなにいい奥さんがこうなるかねぇ、、、やっぱり奪おうかな?」
優しさが苦しい。痛いほどに、、、
「俺さ、仕事は上手くいかないし長く付き合った彼女と別れて耐えられなくて。で、簡単に欲望を満たせるならって初めは思ってた。でも君は優しくて、、、今日会ったらもう好きになってて一度キリなんか無理って思っちゃったわけ。だからできなくてなんか安心したし」
「でも、、、」
「次に謝ったら今度こそ先へ進むよ?」
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