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そう言って彼は服を着るように私に耳打ちしてから立ち上がり再びタバコを吹かした。
私はタバコが苦手だ。
タバコというより匂いが。
でも男の人がタバコを吹かす姿を見るのは好きで、彼のその姿に目を奪われてしまう。
彼に旦那を重ねてしまった今でも、私は彼に胸の高鳴りを感じる。
止められない気持ちを2つ抱えたまま私は今ここにいた。
「タツヤ君、、、ありがとう。やっぱりあなたと出会えて本当に良かった。」
彼はタバコの火をそっと消すと私の唇に再び唇を重ねた。
タバコの匂いがするキスは今までのどのキスよりも甘くて切ない味がした。
「俺もだよ。君が俺を忘れても、俺は君を忘れない。君の中に俺が入り込む隙は無いかもしれないけど、俺の中には確かに君がいるからね」
私の中にもあなたがいるよ、、、
そう伝えたかったけど口から溢れそうになった言葉をぐっと飲み込んだ。これ以上、あなたを困らせたくはないから、、、
「最後に1つだけいいかな、、、?本当の名前、教えてほしい」
「私は、、、アミ。」
彼は寂しげに笑った。
「アミちゃんか、、、なんかそっちの方がイメージにあうな。ちなみに俺はそのままタツヤだよ。本名だからさ」
やっぱり彼は真面目で誠実な人だ。
名前まで偽らないだなんて、真っ直ぐ過ぎて何だか笑えた。
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