35歳、リスタート

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35歳、リスタート

「話があるんだ。この話は夜中にしか出来ないから夜中に時間を作ろう」 「わかった。いつにする?」 「今晩だよ。寝ないでね?」 今日、私は旦那に彼との事を全て話そうと思う。 私の気持ちも、全部包み隠さずに。 そして全てにケジメをつける。 この先の未来のために、、、 今日という日がとても長く感じた。 あの日、私が旦那への話し合いを切り出したあの日と同じように。 夜が深くなり、その時はやってきた。旦那と私は再び向かい合う。 「私、浮気した」 旦那は目を見開いて口をポカンと開き、絵に書いたような驚き方をしている。 「、、、浮気って?」 「言葉そのままだよ。男の人と連絡を取ってて、それで会った。ホテルまで行きました」 その時の旦那の表情は忘れられない。 今にも泣き出しそうな顔をして、頭を抱えてうなだれた。 それでも私は言葉を止めない。 「でも彼とは最後までいけなかった、、、だから体の関係はありません。」 旦那はあの時と同じようにだんまりを決め込んで顔をあげようとはしなかった。 「ワンナイトラブのつもりでいたのに私は体を捧げる事が出来なかったの。罪悪感とか、そんなんじゃないよ。あなたへの思いが溢れて止まらなくて、泣いてしまって出来なかった。」 その言葉を聞いた時、旦那がふと顔をあげた。普段は涙なんか見せない旦那が泣いていた。 「私は、、、やっぱりあなた以外は愛せないしあなたしかいらない。浮気しておいてそんな事言うだなんておかしいよね。でも、、、これが私の答えだから」 言葉が溢れ出して止まらなかった。 「あなたが浮気したって聞いた時も今も辛くて苦しい。だけど私はあなたの気持ちを知りたくてそんな事をしたの。そしてわかったよ。誰かに恋のような感情を抱くとそれは簡単には消せない。だけどそれより深い気持ちがここにはある」 気付いたら私も泣いていた。 だけど泣きながらも私は言葉を止める事が出来なかった。 「私は全部受け止めるよ。自分の気持ちも、あなたの気持ちも。例えそれがどんなに苦しくても 、私はそうしてあなたと前に進みたいから、、、」
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