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「ちょっとね、落ちたらどうしようって不安はありましたのでね。これでもう、心置きなく今日の旅行が楽しめますよ」
「いやあ、本当によかったですよ。改めておめでとうございます」
「いえいえ、ありがとうございます」
「――こっちが黙ってりゃ、言いたい放題だ」
璃子がぼそっと言った。
「すみません、」
と悠希が言いだした。――スマホを90度傾けて、構えている。
「ちょっとカメラ入ってしまいますので……少し移動してもらってもいいですか?」
「こっちはスタッフか!」
と璃子が言った。
「私以外みんなボケ……いつも通り」
「――では早速鎌倉・江の島巡り、行きましょうか」
と環菜は言った。
「そうですね、早速行きましょう」
2人、連れ立って歩き出す。その後を、悠希が動画を撮り続けながら、追っていく。
「ちょっと、待って、いつまで続けるの」
璃子もあわてて後をついていった。
「本当、誰か止めてくれ」
「何を1人でわいわい騒いでるの」
と環菜が振り返って言った。
「ディレクター」
「誰がディレクターだ」
璃子はすかさず言い返した。
「せっかくいい感じでオープニング始まったのに」
「だから、どこのロケだってば!」
「――野沢さん、カメラ入っちゃってます」
後ろで悠希が手を振りながら注意した。
「いつまで続くの、これ……」
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