ダルジュロス王子とアンダルシアの少女

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「こんなにミツが入ってたんだ」スプーンでハチミツを2(てき)垂らして混ぜると、濃い黄色の液ができあがった。コルクを閉めて机の上に置く。 「これでいいかな?」ドレスやタキシード姿の騎士たちが広間に向かう声が 聞こえ、アリスは慌ててドレスを着て階段を()り、広間へ入った。  「こんばんはアリス。そのドレス大人っぽいな」「こんばんは陛下。ありがとうございます」ベージュのタキシードを着たフォイアーが「アリス。オレと 踊ってくれるか?」と聞いてきた。 「ええ」と答えると、音楽が流れ始め彼に手を握られ、心拍数が上がるのを 感じながらゆっくりと踊る。  フォイアーの顔を見つめていると、ほっと息をつけた。「少し疲れてるんじゃないか?座って休めよ」「ううん、まだ踊っていたい」  彼はコップにリンゴジュースをつぐと、彼女に渡した。「頭使ってたんだろ?休めって」「ありがとう」  飲んでみると、「おいしい」と呟いていた。「ダルジュロスではリンゴを使った料理が多くて、農家が300軒あるんだ。冬に甘みが強くなる。テーブルに置かれてるタルトは、アデルの幼なじみが作って届けてくれたんだ」  「へえ」「あいつは彼女のことが好きなんだけど、結婚はできないんだな」  その時、巨大なムカデが窓を割って塔の中に入って来た。    
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