ダルジュロス王子とアンダルシアの少女

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 息を切らしながら塔の外を走るアデルを見つけ、巨体のムカデが彼の後ろに 近づいている。シャーリーとエルドランが辞書と剣で攻撃しようとするが、足 の一本が彼の胸に刺さってしまった。  「エルドラン!シャーリー、彼にこれを飲ませて!」アリスはドレスのポケットから小ビンを取り出して彼女に投げ渡した。  「それは?」「私が作った解毒剤。ハチミツとキンモクセイを混ぜたの。 早く飲ませて!」シャーリーはコルクを外し、液をエルドランの口に入れた。  彼の出血が止まり、青かった顔色が元に戻っていく。「大丈夫?」と声を かけると、「ああ。ありがとうアリス」と笑みを見せた。  「アデルを守らないと。シャーリー、あのムカデは氷にも弱い。凍らせてからオレの火で燃やす。できるか?」「うん」  シャーリーはそう答え、丸い石の前に立つと、辞書を開いた。文字が氷のかけらになり、ムカデを連続で攻撃し氷のかたまりにする。  「行ってフォイアー!」180度の紫色の火が、巨体を氷ごと溶かして土にした。二人は地面に座り込んだアデルに駆け寄る。    
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