ダルジュロス王子とアンダルシアの少女

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「無事だな?」「うん。ありがとう兄さん、アリスさん」三人は広間に戻り、 ヴィントに「陛下、ムカデは土になりました」と声をかけた。 「分かった。お前たちは休んでくれ」「はい」三人は二階の寝室に移動し、ベッドに座った。  「今日はたくさん汗をかいた。風呂に行こうアデル」「うん。さっぱりしてきます」二人は廊下を歩いて風呂場へ入る。フォイアーは弟の髪にせっけんを つけ、汗や体のよごれを流す。  「お前、また背が伸びたんじゃないか?今にオレと同じくらいになるぞ」 「たくさん走って、食べてるから。ラズが作ってくれたタルトも、6つ食べた」フォイアーは「食いすぎだよ!」と弟の髪の泡をお湯で流しながら笑う。  ヴィントが今の自分と同じ16歳で国王になって4年、ダルジュロスは 家族がいない子供たちに炊き出しをしながら、騎士にしてきた。  シャーリーもその一人で、あちこちにコケが生えた一軒家に一人で暮らしていたのだ。衣服は買わずに()い、食事は肉やコーンスープばかりだった。  
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