ダルジュロス王子とアンダルシアの少女

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 「アリスを探しに行きましょう、陛下」「ああ」と答え、ヴィントは髪から 垂れる水滴をタオルでふきながら次の部屋へと入った。  柔らかい羽が、冷え切ったほおに触れるのを感じた。ゆっくりと目を開け体を起こすと、黄色い二つの目がこちらをじっと見ている。ダルジュロスの守り神、ワシミミズクだ。  靴音を響かせて階段を上がってきたアーノルドの背後からかぎ爪で切りつけ、腕から血を流す彼の頭を翼でたたいた。大きな声で鳴きながら他の兵を 追い払い、アリスを守っている。  シャーリーとエルドランも、その様子に驚きながらアリスに駆け寄って 立ち上がらせる。  「フォイアーやラズも、あなたを探してる。行こう」「ええ」ワシミミズクが二人を威嚇(いかく)するが、「私たちは彼女を助けに来たの」とシャーリーが言うと肩に止まってついてきた。    「アリス!」意中の女性の姿を見るなり、フォイアーが駆け寄ってきて彼女を抱きしめた。    
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