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第三章 「ワシミミズクとアリス」
アリスは倉庫内の柱に縛り付けられ、アーノルド・フォンシュタインの前に
いた。彼女の顔色は失神しそうなほど真っ白になっている。呼びかけられ、
「んん―――」とかすれた声で答えるとアーノルドが彼女に銃を向けた。
その時、一羽のワシミミズクがかぎ爪で彼の茶髪を引っ張り、翼で何度も
頭をたたいた。同時にフォイアーとエルドランが彼女のさるぐつわをはずして
縄を切った。「アリス」肩を揺さぶられて目を開けると、二人が自分のほうを見ていた。
「アーノルド・フォンシュタイン。若い女性を弱らせて殺そうとするとは、
相変わらず利己的だな」ヴィントが怒りをこめた声で言うと、アーノルドは
無言で剣をヴィントの前に向けた。
二人は激しくお互いの剣を弾き、アーノルドが転んだ瞬間にワシミミズクが
再び飛んで来て、かぎ爪で彼の足に傷をつけた。彼は剣を鞘にしまうと、汗だくになりながら去ろうとした。
「あなたは兵士に戻るべきだ。ここから北に行くと、女性や子供の護衛を
してくれる人を必要としている者たちがいますから、彼らのために働いて
くれませんか」アーノルドはうなずくと、傷口に包帯を巻きながら北へと
向かった。
それから三時間後、アリスは入浴を終えて新しいパジャマに着替え、自室で
休んでいた。フォイアーが「入ってもいいか?」とドア越しに聞いてきたので、「うん」と答えてベッドの近くにある椅子に座ってもらった。
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