ダルジュロス王子とアンダルシアの少女

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 「ほおがいつもと同じ、ピンク色に戻ったな」と言って、彼は小さくため息を吐いた。それからハムとレタスのサンドイッチを彼女に渡す。アリスはそれを完食し、「ありがとう。お腹すいてたんだ」とにっこり笑った。  「お前が兵士たちに連れていかれた夜、ワシミミズクがオレの夢の中に出てきたんだ。そいつはさっきの戦いと同じように、お前を守ってた」彼は自分のサンドイッチを一口かじってから続ける。  「馬車に乗ってる時、無事にお前を助けられるのかって不安でいっぱいだった。アーノルドはこのあたりに住んでいたトカゲやムカデに毒を吸わせて、今のような状態にした」アリスは驚きのあまりサンドイッチをのどにつまらせそうになる。  「以前は毒を持っていなかったってこと?」「うん。オレが6歳だった時、 ムカデを一匹捕まえに林の中まで行ったことがあったんだけど、茶色くて小さかった。すぐに元の場所に戻したけどな」彼はそう言って、彼女に四角い箱を渡す。中には黄色いベストと黒の長ズボンが入っていた。  「お前の上着と、綿がたくさん入ったズボンだ。明日着てみてくれ」「ありがとう」「これももらってくれ」彼は別の箱をベッドの上に置いた。  濃い緑色のドレスを見て、アリスの目から涙が流れる。    
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