第1話

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 終業のベルが鳴り、生徒たちが一斉に動き出す。  帰る、と言いつつも友人たちとの雑談に花を咲かせていた日向は、数分後、あることに気が付いた。 「あれ? これ……」  隣席の机上に、玉葱のキャラクタのストラップをぶら下げたスマートフォンが置いてある。 「あ、その席って双葉じゃね?」  加世田双葉は、二年生になって初めてクラスメイトになった女子生徒で、黒髪のロングヘアがよく似合う、清純派の美少女だ。 「荷物無いよね、忘れたのかな……」 「……日向届けてやったら? 双葉、わりと可愛いし」 「え!? なんで僕が……、お前行けよ!」 「俺忙しいから~」 「僕だって片付けがあるんですけど」 「お前が見つけたんだし行ってこいよー」  それにお前彼女いないだろ、と耳打ちされ、思わず押し黙る。  たしかに、双葉は清楚で、挨拶や言葉を交わした際の印象も非常に良い。  しかし、その好印象が必ずしも恋愛に結びつくとは限らない。  そんな日向の胸中を気にも留めず、友人たちは揃いも揃って悪戯っぽく背中を押した。
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