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第2話
玉ねぎが、苦手だ。
出されたら食べるし、玉ねぎを含んだ料理を徹底的に避けているわけでもない。
もう一度言う。嫌いではなく、苦手なのだ。
まず、あの独特な匂い。
二つめに、シャリシャリとした食感。
三つめに、しぶとい辛味。
――――そして何より、玉ねぎを切る時の目の痛み。
比較的自炊が好きな日向だが、玉ねぎだけは敬遠してきた。
食卓に玉ねぎを使った料理が出る日は、母親が台所に立つ日のみだった。
キッチンの片隅に放置される玉ねぎを、一瞥する。もちろん、冷蔵庫で眠っている新玉ねぎも忘れてはいない。
貰った日から、もう三日が経った。
その間双葉と会話をしたのは、スマートフォンを届けにいった翌日に、一度だけだ。
おはよう、またね、といった有り触れた挨拶は、もどかしさを募らせる。
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