第2話

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 彼女と、会話がしたい。    強い思いから、ついに日向は腰を上げた。  大玉の玉ねぎをひとつ取り出し、皮を剥きながら、調理法を考える。  たしか豚肉があった。生姜焼きにしよう。 「……よし」  水洗いしたにも関わらず、禍々しいオーラを放つ玉ねぎを、まずは半分に断ち切り、まな板に寝かせる。  ごくりと唾を飲み干し、包丁を入れれば、僅かな抵抗が右手に伝わった。 「……あれ、意外に大丈……ウッ!!!」  じわじわと広がる目の痛みのバロメーターは、数秒も経たずに急上昇し、包丁を握っていた日向の手を止めた。 「この玉ねぎ、強い……!」  同居人は誰一人いないのに、そう言わざるを得ないほどの猛烈な痛みで、目が開けられない。 「駄目だ、これ、やばい……男たるもの……こんなもので……泣い……」  必死に自身を激励するも、手は少しずつしか動いてくれない。  次第に日向はやけになり、最終的にはかなり大まかに刻んで、フライパンに放り込んでいた。  袖で涙を拭いながら、大きすぎて全然日の通らない玉ねぎを一心不乱に炒める。  こんな姿、双葉に見られたくない。  シャリシャリ感を消す為、独特な匂いを消す為、炎と油で応戦するが、飴色になるまでは暫く掛かりそうだ。  調理を開始してから、もう30分経つ。 「早くご飯食べたい……」  弱音を吐いたちょうどその時、炊飯器から愉快な音が聞こえた。
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