雨あがりの恋

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人生山あり谷あり、というけれど私の人生はまさにそうだ。 不動産業を営む父と専業主婦の母と愛犬のコーギーのマサと私との三人と一匹で穏やかに暮らしていた頃は山の頂上にいたのだと思う。 七年前に母を病気で失くし、その二年後に父が再婚。義母は悪い人ではないけれど、当時14歳という多感な時期にやってきた彼女は25歳と若く家事が好きだった母とは真逆の派手な(ひと)だった。 彼女のことを受け入れたのは表面上だけで、心では父にがっかりし、義母をとても母だなんて思えなかった。 家事のできない義母の代わりに家には家政婦の真木(まき)さんが来るようになり、私は学校の相談事や何気ない話などは彼女にするようになったことでなんとか心を保っていた。 だがその一年後、父と義母の間に赤ちゃんができ、私の弟になる(じん)が誕生する。 一人っ子だった私だから、迅が産まれてきたことは嬉しかったけれど、同時に疎外感を感じるようになった。 父と義母と迅とで囲む食卓はまるで私だけガラスケースに入っているようで、一人、距離が遠い。三人が笑う姿が妙に他人事のように映って、心が虚しく感じた。 母が他界してからの私の人生は下り坂。だが谷底に落ちるのにも時間がかからなかった。
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