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第1話:ありふれた未来へ
新しい町は見慣れない建物が聳え立っていて、心を躍らせる。感じたことのない風、辺りから香る温かみのある料理の香り、都会らしい煉瓦の家、其のどれもが新鮮だった。
ウルシアは今日この町に引っ越してきた。幼い頃の事故により、脳に難病を抱えている彼女は元いた田舎の施設を離れて大病院へと移転してきたのだ。
同じく病弱な妹、ウィモを残していくことに多少の不安はあったが、如何やら自分の方が病状が重いらしく施設ではもう世話を仕切れない、とのことで大病院での入院生活を余儀なくされることになった。
其の宣告を受けた時は流石にこたえてたくさん泣いた。ウルシアももう14歳と、判断の出来る年頃である。当然率直な言葉の意味を理解することだって容易なことだった。
しかしウルシアは同時に期待していた。この新しい町の人々との出会いを、そして自分の病が完治することを。
期待と不安で鼓動が早くなる。自分の心臓が動いているのがこんなにもよく分かるのは久しぶりだ。
ウルシアはいっぱいに外の空気を吸い込んだ。
これから始まる新しい生活に、目をキラキラさせながら。
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