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流れるように揺れる黒髪は、太陽に照らされると少し深い藍色のようにも見える。
右目には眼帯。中性的な顔立ちで、入院服に今の時期ではまだ早いような気もするカーディガンを羽織っていた。
大体の人が半袖や七分丈の服を着る中、一際目立つそんな格好で、空を見上げている。
暑そうだな、と目で追いつつも何とかシルテの歩幅に合わせて前に進んだ。
「やっぱり大きい病院は色んな人がいるんだな……」
「そうですね、でも皆とても良い人だから気になる人に声をかけてみるのも良いかもしれませんよ」
シルテの言葉に、再度やる気が漲ってきたウルシアは大きく頷いた。
もう自分の家は此処なんだ。たくさんの人と出会って、友達をたくさん作って、いつかは愛する人と出会って幸せな家庭を築くんだ――――。
ウルシアはその決意を胸に、陽気な陽だまりへと駆け出した。
その夜、ウルシアは病床に付属された机に向かっていた。
今日はとても良い事があった。これから毎日起きるであろう些細な良い事を便箋に書き起こして、まとめてウィモに送ろう。
そんな計画を練りつつ、ウルシアは今日の出来事をスラスラと認めた。
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