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第1話
夜中になると段数が変わる階段。
トイレに現れる少女の霊。
勝手に動き出す人体模型や剥製。
ひとりでに鳴り出すピアノ。
この学校にも有り触れた怪談はたくさんあるけれど、もうひとつ、本校の生徒の間では特に有名な言い伝えがある。
“非常口付近で、男の独り言や、鼻歌が聞こえる”
――――というものだ。
実際に男の声を聞いた生徒もいるようで、証言した幾人かは何とか逃げ出してきた、と語ったそうだ。
一部のお調子者が現場で肝試しをした際、怪奇現象に見舞われた、との噂もある。
そこから怪談はさらに派生し、『男の声を聞いた者は、現実世界ではないどこかに引き摺り込まれる』や『死ぬまで話や歌を聞かせられる』などの内容で広まり、その場所に興味本位で近付く者は次第に少なくなっていった。
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