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「コーヒーでも淹れるわね」
全てが終わりホッとしたような二人に向かって微笑みかけたら。
ごめんなさいとありがとうを何度も口にして、手を取り合うようにして泣いていた。
良かったわね、お幸せに。
それにしても私と別れたら彼も。
そして彼女も天涯孤独だなんてこんな都合のいい偶然ってあるかしら。
それもきっと二人を結び付けた運命なのかしらね?
これからは誰の目も気にせずに直接愛の言葉をささやき合うつもり? あの反吐が出そうな文面の言葉たちを。
口に出して言ったなら私だったら噴き出しちゃうかも。
これからお二人の進む場所がいばらの道でもバラ色の日々にもならないのを私は知っているけれど。
隠し味に白い錠剤をすりつぶしたものをカップの底にたっぷり。
その上に少し濃いめに淹れたコーヒーを注ぐ。
「飲み終わったら三人で離婚届を出しに行きましょうか」
優しく微笑んだ私に、二人は苦笑して。
ありがとう、と私からのお祝いのコーヒーを飲んだ。
◇◇◇
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