67人が本棚に入れています
本棚に追加
机の中のものも全て引っ張り出した。
ゲーム機やソフトは売りに出し、書類は全てシュレッダーにかけて可燃ゴミへ。
筆記用具ももういらないだろう、必要もない。
拭いたらキレイになった机のコーヒーの輪染み。
近所に欲しがる人がいたらあげてもいいかな、リサイクルにしよう。
掃除機をかけて拭き掃除。
最後にワックスまでかけたら見違えるように美しく澄み切った空間になった。
ようやく健康的な人間が住めるようなった頃、陽はとっくに上りきっていた。
リビングに戻り少し濃いめのコーヒーを淹れてソファーに崩れ落ちる様に座り込む。
眠い、疲れた、そりゃそうだ、昨日から一睡もしてなかったし暗いうちから掃除を始めていたもの。
今日が日曜日であって良かった、と欠伸をしながら腕を伸ばした。
冬晴れの木漏れ日がリビングに注ぐ。
ベランダの外には洗濯物干ししかない殺伐とした庭の風景。
せっかくガーデニングでもできそうなものを……。
私はやってみたかったけれど、彼がそういうのは一切興味がなかったからなあ。
そうだ、これからは好きにしてもいいんだわ、私の。
幸い良い肥料もあるし、と風呂場に置いてあるブルーシートに包んだ大きな二つのゴミを思い出して。
「あ、お風呂場の掃除もしないと」
いつもよりも念入りに。
【完】
最初のコメントを投稿しよう!