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第七章-Ⅶ Rei`s Story =SIDE④=
話ながら、一切不安な顔など見せずに笑う麻依さんはすごく綺麗で…
こんな彼女を傷つけようとしている俺は、きっと地獄に落ちるのだと思う。
もうそうやってあなたの優しい笑顔を見ることも、話すことも出来なくなるだろう…
きっと…きっ…と…
………
……………
『何だよ、親父バイクばっか、いじりやがって。
たまにはツーリングでも行くか…健じいも誘って三人で…』
笑う俺に、
『本当に三人でいいのか?』
厭らしい顔つきで尋ねる親父。
『なっ、その顔健じいみたいだな…全く。やっぱ達だな、類はなんやらって…』
その言葉に俺はメットを一つ余分に用意している。
いつも通るあの海沿いの道をひたすら真っ直ぐ…
そう、彼女を迎えに行くために…
夏風と潮の香りを浴びながら、どこまでも真っすぐに走るんだ。
店に着き、勢いよくドアを開ける。
『あれ?誰もいない?』
がらんとする店内で、俺は必死に彼女を探した。
『ジュリエット?健治じい?おかしいな…』
健じいの姿さえ見当たらない。
あれ?親父は?
俺は必死でみんなを探した。
どこだ?
どこにいるんだ…
気付くと真っ暗な店に俺だけが一人たたずみ、
もう一人の自分がその姿をみていた。
マジで…そんなの……
勘弁してくれ………
ハァハァハァ…
息が苦しくて目が覚めた。
身体中、風呂でも入ったんじゃないかというくらい、汗でびっちょり濡れている。
…夢か。
『目が覚めた?大丈夫?』
ここはどこだ…
立ち上がろうとすると腕には点滴が繋がれていて、
どうやら病院のようだ。
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